今日は、漢字カフェで「藝」の略字として使われる「芸」は不適当であることを学んだ。
「芸」は、防虫効果のある草のこと。古くは大切な書物を保存する所にこの草を敷き詰めて、書物を紙魚の被害から守ったことから、日本最古の図書館「芸亭(ウンテイ)」にこの字が使われている。
このように「芸」は「蕓(ウン)」の異体字・略字としてすでに使われていて、訓読みも「くさぎ-る」として存在する。この除草して畑を耕す意味としても使われる「芸(ウン)」に、「埶(ゲイ)」を組み合わせた「藝(ゲイ)」は木や草の苗を地面に植えようとしている形を表す。「藝える」は「う-える」と読む。人は、幼いころからすぐれた内容をもつ教育をあたえれば、その人は精神に豊かな教養が芽生え、大きく花開くことが意味された漢字なのである。
つまり「芸」と「藝」は、草を「切り取る」と「植える」の正反対の意味なのである。日本の国公立5芸大のうち、「藝」を使っているのが東京藝術大学であり、藝大と略すことが許されている。日本大学は「藝術学部」であり、河出書房新社の雑誌は「文藝」である。「芸」は「藝」の略字として当用漢字に登録されているのだから誤りではないが、拘って使い分けたい漢字だと思う。例えば、学校などは「藝」で、作品は「芸」とか。学校でも作品制作のほうに重心があるなら「芸」とか。